最近、続けて2人のがんの患者さんを診療しました。
1人は、当院で数か月前に診療し、その後、ちょっと症状が良くなったからと、自分で判断し通院を中止しました。再び症状が悪化して来院し、基幹病院に紹介し、がんの確定診断が出ました。
もう1人は、他科(内科開業医)で検査をし、かなり強い痛み止めを何種類か処方されて、それでも、なかなかよくならないからと当院を受診しました。なぜ、大病院の耳鼻科受診を勧めなかったのか疑問です。
同様に、基幹病院の耳鼻科に紹介しました。
今回に限らず、悪性腫瘍の診断(特に初期)と治療はそう簡単なものではありません。誰が診てもがんとわかるものは、ほとんど頚部やさらに肺に転移しています。
私が研修医の時に、先輩(10年目以上の文部教官助手、講師クラス)が、常々こう言っていました。
「俺たちみたいな、癌専門医だって判断に迷うことは多い。ましてや、お前らみたいな研修医(1年目しか大学にはいない)や内科の医者にわかるはずがない。アルバイト先の病院(耳鼻科は非常勤のみ)でも、絶対に1回で診断し、帰してはだめだ。上級医がfollowに行くまで必ず受診してもらうようにするか、言うことを聞かない人は、すぐに大学に送れ。」(実際は博多弁)
診断技術も向上し、初期の悪性腫瘍を見つけ出すことも可能になりましたが、100%確実ではありません。
詳細な問診と、視診(ファイバー)、触診(超音波)が重要なことはもちろんです。
いろいろ聞かれて、「感じが悪い」、「気に入らない」とか言うのであれば、あちこちの病院に行かずに、自分で治療するしかありません。